ギリギリの魅力

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先日、初めてオーケストラと協奏曲を弾いた高校生のチェロの女の子から

「オーケストラと一緒に弾く事がこんなにも楽しいとは思っていなくて、ただただ弾く事に夢中でした」

というメールがきた。

この言葉を読んで、なんて素敵なんだろう、なんて瑞々しい感性なのだろうと思った。

忘れてないかな?この感性を・・と自分に聞いてみた。

もちろん経験をつみ、喜びや恐怖や色んな感情を味わう事によって感性は変化してくる。

でも、なぜか彼女のこの言葉はストレートに心に入ってきて、ぐっときてしまった。


そして今日、日本音楽コンクールの受賞記念演奏会で森田くんがドヴォルジャークを弾いた。

コンクールでは苦労したドボコンを、一回り成長して弾いている彼をみながら、

ひたむきさは人をひきつけるなと改めて思った。


人をひきつけるとはどういうことなのか。

そもそも人は何に惹き付けられるのか??

自分が届くか届かないかのギリギリのところに手を伸ばしているものにひきつけられるのかもと思った。

簡単に手が届くのをみても人は当たり前だと思う。

楽々というものは「すごい」とは思っても心にはささらない。

人はやはりぎりぎりというものに魅力を感じるのだ。


そのギリギリはもしかしたらテンポのスピードかもしれない。あんなに早く弾けるなんて。

美しいppかもしれない。息も出来ないほどのpp。

ずれるギリギリが摩擦感を出して、エネルギッシュになったり、

調和の極地が初めての音色を作り出したり、

息が続くかどうかの長い長いフレーズが曲を壮大に感じさせたり、

自分の限界を音楽の中に入る事によって越えている。


いい一日だったな。


私の限界・・・

もっとギリギリを目指して弾いてみよう。

明日は久しぶりにヘルマン・メニングハウスとのリハーサル。

ギリギリだよ、ギリギリ。

余裕なんてゴミ箱に捨ててしまおう。



CD情報

諸田由里子 ピアノ・リサイタルII
ドビュッシー「版画」

2010年1月25日発売。
諸田由里子 ピアノ・リサイタルII
ドビュッシー「版画」イメージ
ショパン:ノクターン No.1Op.9-1 No.4 Op.15-1 遺作 マズルカ No.32 Op.50-3 モーツァルト:ピアノソナタ第13番 B-dur K.333 ドビュッシー:アラベスク 版画 月の光
WWCC-7633 ¥2,625(税込)


Profile


諸田由里子 Yuriko Morota
ピアニスト Pianist

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