2011年10月アーカイブ

Thanks 熊本!

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私をいつも鍛えてくれる地、それが熊本だ。

ここで演奏することで、自分の一年の勉強具合、成長具合がわかる。

出来るようになったこと、今後必要なこと、まだまだ勉強しなければいけないこと、

本当に色んな事がわかる。

こういう場所があるって幸せだなと思う。


坂本緑先生は御年還暦!なのにリサイタルをして、そして何よりそのレベルを保っていることに

本当に尊敬を覚える。

私は彼女の凛とした生き方が好きだ。

妹のような気持ちで、あたかも親戚の家にいったかのようなくつろぎ方で、リハーサルのみならずお食事までお世話になっている。

そして、本番での一言一言の緊張感。

細い声質なのだが、どこまでも一直線に声が通って行く。


勝部先生の豊かな表現力は一緒に弾かせていただく度に身にしみる。

そうか、音楽ってこうやって出来ているんだと思う。

演奏会後の打ち上げで「もっと歌がうまくなりたい」とおっしゃって、いつまでもその気持ちを持ち続けていることに感激した。

こうして心から尊敬出来る音楽家の、そして人生の先輩がいるのは幸せだ。


今回ご一緒出来たピアニスト、島優子さんにも刺激をうけた。

熊本在住のピアニストだが、音楽に誠実で、一本筋の通った強い何かを持っていらっしゃる方だ。

その人間性やピアノに対する姿勢に感心して、熊本に来てこうして出会えたことに感謝したい。

そして桐朋の後輩にあたる柴田遥子さん、トランスコンティネンタルDUO、彼らのおかげでコンサートの楽しさや魅力は間違いなく増えたと思う。


他にもあげるときりがないほど、沢山のかたにお世話になった。

県立劇場関係者、調律師の平井さん、熊本ピアノの森永さん、小山幼稚園、

そして私のようなどこの大学の先生でもないピアニストのレッスンに生徒さんを送り出した先生方。

心からの感謝を申し上げます。


前回、熊本ラーメンの「黒亭」に行ったので、今回は「大黒」に行った。

おいしかったなぁ。熊本に行くと一度はラーメンを食べたくなる。


次回、また熊本に来てピアノを聞いていただくその日には、今回よりもっといい演奏を!と固く心に誓った旅になった。



昔の「ます」と今の「ます」

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シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」は思いで深い一曲。

学生時代に初めてちゃんとした室内楽の曲として取り組み、

大学の室内楽オーディションを受けた曲だ。

当時なりに必死に勉強していたらしい書き込みが楽譜に残っている。

あーだこーだと皆で言い合い、上手く出来ない自分がもどかしくて、

家に帰ってぐすぐす泣いた事もあったなぁ・・

演奏会の後で大好きで大尊敬していた井上頼豊先生に初めて「きれいだった」と褒められて、

嬉しくて嬉しくて打ち上げのレストランで泣いちゃったのも覚えている。


久しぶりに弾いた「ます」はあの頃とは違っていた。

曲の捉え方もシューベルトのイメージも、ずいぶん違う。

それは成長なのか、経験なのかわからないけれど、それでも弾きながら随所になつかしさがこみ上げた。

嬉しかったなぁ。

もちろん本番は嬉しいとか楽しいとかいうより集中した特別な時間空間なのだけれど、

「ます」を弾ける事は本当に嬉しい。

室内楽は大好きだが、なんといっても一人では出来ない。

石田さん、山本さん、柳瀬さん、米長さんに心から感謝です。


終わってから新幹線で爆睡しながら京都へ行った。

疲れていたはずが、爆睡のために元気になった私は夜にもかかわらず京都をウロウロ歩き回る。

京都って楽しいな。カッコいいお店がありすぎる。

これが昼間だったら散財していたに違いない。

お気に入りのレトロな喫茶店がまだあって、珈琲を飲む。

こんな時間がたまらなく楽しく幸せ。


次の日、バイオリンのTracyさんとベートーヴェンやリムスキーコルサコフなどを弾き、

つかの間の京都を後にした。

今日は一日、猫と遊び、明日から熊本だ。

熊本は大好きな場所。

大好きな人が沢山いて、楽しくて、そして私を鍛えてくれる大切な場所だ。

いい音楽を、いいピアノを誠心誠意届けたい。



玉三郎さんの「生き方」

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こんな美しさがあるのかしら?と驚愕した一日。

坂東玉三郎さんの舞踊公演を見た。

言葉もなく、激しい動きもなく、それでもその表現力はすごかった。

すごいなどという抽象的な言葉しか出てこない自分の語彙のなさにあきれてしまう。


立っているだけで美しかった。

その立ち方は芯がピンとはっていて、それでいて全てが優雅でたおやかだ。

腕はゆっくりと、けれども止まる事なく美しく舞う。

その腕がどこからついているのかしらと思うほど、身体と腕が一体なのがよくわかる。

身体の奥の方をほんの少し動かしたら、手首が楽に回ってしまったという感じ。


歩き方も足音が絶対聞こえないほどにすべるようなのに、ものすごく重心がしっかりしていて

見ていて、姿勢に安定感がある。

背中を反らすのも、腕を広げるのも苦しいポーズなはずなのに、

苦しさを感じさせない自然なポーズに見えるしどの角度から見ても美しい姿勢を計算してあるようだ。

ため息がでるほど美しい。妖艶だったり清純だったり自由自在。


う~。なんで今まで観に行かなかったのだろう。

後悔しても遅い。これからはなるべく観に行こう。


私は初心者なので演目などに対しての知識が全くないのだが、

きっと演目の時代背景や主人公の心情を知れば知るほど、

玉三郎さんの舞踊の奥深さもわかるはずだ。

あ~、自分が本当に何も知らない無知なことが恥ずかしい。


以前、彼のインタビューをテレビで見ていて、心に残った印象的な言葉がある。

それはどうしたら人の心に届く音が出せるんだろう、届く音と届かない音の違いは何なのだろうと

ずっと考え迷っていた私の心にダイレクトに届いて来た。

玉三郎さんが舞台に登場するとオーラのような存在感を感じるのですが、それはなぜだと思いますか?

というインタビュアーの質問への彼の言葉。

「生き方なのかもしれません」


そうなのだ。

全て生き方なのだ。

生き方が意見になり、生き方が表現になり、生き方が存在感になる。

そして生き方は日常から出来上がる。

毎日、修行のような稽古をして確かな技術を身につけ、

そして全てを一瞬で捨てる勇気。それはもはや技術ではなく彼自身になり表現となる。


プロフェッショナルとは何かを教えられた。



「楽しいこと」が好きだ

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10月に入った。

あっという間に時が過ぎていく。


恒例の「まだん陶房」の作陶展の季節だ。

私は今はこの作陶展に出すのを目標に陶芸を続けている。

というのは、なかなか忙しくてコンスタントに通えない中、

この展覧会にだけは絶対出すことを目標にしていないとやめちゃいそうなのだ。

陶芸が好きだし、仲間が好きだし、やめないことを目標にしている。


私は趣味が結構多い。

好きなものややりたいことが沢山ある。

趣味を持たずに音楽やピアノに全てを捧げる方がかっこいいなと思ったときもあったが、

ある時、人間には色んなタイプがあって、一つのことをしている方が身につくタイプ、

いくつかの事をやることで多面的に物事を学んでいくタイプがあると知った。

どう考えても後者だな。


陶芸は形になって現れるのが特徴だ。

立体の感覚。

陶芸を見るのが大好きだし、触るのが大好き。

作るのは正直、プロとの違いをまざまざと見せつけられる機会だ。

それでも楽しい。あーだこーだと考えながら、土と釉薬との相性を探りながら、

下手なりに思い悩むのが楽しい。

ほとんどが思い通りにいかないけれど、たまに「あっ、まぁまぁいいじゃん!!」って

嬉しくなる焼き上がりがあると、それでもうご機嫌だ。


そして何より仲間だ。

みんな仕事も老若男女関係なく付き合える仲間。

なぜか「ゆりぴょん」と私を呼び、お互いの作品を褒め合ったりけなし合ったり、

「こうやってみたら、こんなになったよ」と教え合ったり。

みんながそれぞれの個性があって、素人の分、その個性がはっきり出ていて、

一人一人がみんな違って、それがすごく面白い。

毎年上手になっていったり、ある年にぐんぐんと上手になる人がいたり、

それぞれの人生のほんのちょっとの部分を共有している感じで楽しいのだ。


忙しくても、やめずにいるのはきっとその「楽しさ」があるから。

その「楽しさ」が私の人生に彩りを添えてくれるからだ。


CD情報

諸田由里子 ピアノ・リサイタルII
ドビュッシー「版画」

2010年1月25日発売。
諸田由里子 ピアノ・リサイタルII
ドビュッシー「版画」イメージ
ショパン:ノクターン No.1Op.9-1 No.4 Op.15-1 遺作 マズルカ No.32 Op.50-3 モーツァルト:ピアノソナタ第13番 B-dur K.333 ドビュッシー:アラベスク 版画 月の光
WWCC-7633 ¥2,625(税込)


Profile


諸田由里子 Yuriko Morota
ピアニスト Pianist

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