この夏から色々アップグレードに取り組んできたつまりだったが、
ここにきて停滞している。
なかなか思うようにいかずに歯がゆい毎日。
なんとなく、身体の色々なことがスムーズにいっていないというか、うまく力が伝わっていないというか、
無理しているというか、すんなりいっていない。
方向としては間違っていないつもりなのだが、こういう時期が一番辛い。
そんなときの気分転換は何と言っても食べる事だ。
おいしいものを食べると心はうきうきするし、まぁこんな時期もあるさと思える。
私はお気に入りのレストランに行くのも大好きだが、料理をするのも好きだ。
もちろん毎日毎日面倒だなと思うときもあるけれど、基本的に食べるのが好きなので、
どうせ食べるなら美味しく食べたいと思う。
こうすると美味しいよと聞いたらすぐにでも実行してみないと気が済まない。
だから友人を家に呼んでみんなでワイワイ食べるのも大好きだ。
そんな時もいつもと同じ大皿料理で足りなきゃまた作るというくらいの適当さなのだがこれが楽しい。
料理をしているとよく思う事だが、おいしく食べるためのノウハウがある。
難しいことではない。
なるべく時間をかけない方が美味しいものや、時間をかけることで美味しくなるもの、
シンプルが美味しいものや、手を加える事で美味しくなるもの、
それぞれの美味しくなるポイントを間違えないということだと思う。
不思議なのは「置いておく事で美味しくなる」ものがあるということだ。
煮込みとか色んな味付けがはいるものは絶対そう。
急いじゃいけない。ただただ置いておけばとんがっていた味がまろやかになったり、
充分味がしみ込んだりする。
この「置いておく事」が料理をしていて学んだ大きなことだ。
だから、あわててはいけない。
すぐに味がしみ込まないからといって、どんどん味付けを足してしまうと大変なことになる。
あっさりでも「置いておく」ことで味が染みて美味しくなったり、
それぞれのスパイスの性格が強くて、とげとげしたそれぞれが主張が激しい感じでも、
「置いておく事」でだんだん味がまとまって、まろやかな感じになり、最後には独特のまとまった味になる。
きっと今のこの歯がゆい毎日も少し我慢して「置いておく」ことが必要だと言い聞かせる。
通らなければいけない過程なのだ。
じっと待っていると、きっと色んなものがつながってくる時がやってくるはずだ。


諸田由里子さん、こんばんわ。
『「置いておく」という時間』というタイトルを見て、私はasahi.comで紹介されて
いた次のペーター・レーゼル氏の言葉を思い出しました。
「若いうちに同じ曲ばかり繰り返し弾かされ、10年後、今の自分に何もないと
がくぜんとした時には業界はすでに次のスターを見つけている。
でも、信念を持った優れた音楽家になることから目をそらさなければ、商業主義
の誘惑など、さほど大きな問題ではなくなると私は思います。」
そして、昨年、レーゼル氏のコンチェルトのプログラムで紹介されていた、
「東側(東独)は西側(西独)に占領されるような状況になりました。ポストが50
あるとしたら、47が西側から来た人間になってしまった。」というレーゼル氏の
言葉も、合わせて思い起こしました。
長年にわたる忍従と、優れた音楽家になるという、強い信念に支えられた研鑚。
『「置いておく」という時間』を、きっと、レーゼル氏も経験されたのだと思います。
M.Hさま
素晴らしいメッセージをありがとうございました。
どうしても気が迫ってしまって「置いておく」ことが出来ないことが多いのです。
そして商業主義の誘惑も多分音楽家にとっては辛いところだと思います。
でも、そこを学ばなければ次の段階にはいけない。
先日のゼルキン氏やレーゼルさんの存在は私に大きな勇気を与えてくれます。
レーゼル氏の音、ベートーヴェン感、生き方を学ぶ意味でもコンサートを楽しみにしております。